こどもの運動が週60分未満の割合|4区分で最も高いのは中2女子の18%

推奨として挙がっている60分は1日あたり。現状として挙がっている60分は1週間あたりの合計で、同じ数字が別の期間を指しています

こどもの運動時間について、国の身体活動・運動ガイド2023にこども版があります。2ページのPDFです。今回はこれを取得し、60分という数字が何か所に出てくるか、そのたびに対象と期間がどうなっているかを数えました。

推奨事項は2行で、どちらにも数字が無い

1ページ目の先頭に「推奨事項」という欄があり、丸印の付いた行が2つ置かれています。

身体を動かす時間が少ないこどもには、何らかの身体活動を少しでも行うことを推奨する。

激しすぎる運動やオーバーユース(使いすぎ)に注意する。

2行とも、時間も回数も書いていません。同じガイドの大人向けの号が筋トレの頻度や1日の歩数を値で置いているのに対し、こども版の推奨事項に数字はありませんでした。

その2行のあいだに、括弧書きで断った参考の欄が挟まっています。数字が出てくるのはここからです。

こどもは、中強度以上(3メッツ以上)の身体活動(主に有酸素性身体活動)を1日60分以上行う。

高強度の有酸素性身体活動や筋肉・骨を強化する身体活動を週3日以上行う。

この欄は「(参考)WHO『身体活動及び座位行動に関するガイドライン(2020年)』では、次のようなことが推奨されている」という前置きの下に置かれています。1日60分という値は、この資料が自分の推奨事項として置いた数ではなく、参考として引いた別のガイドラインの数でした。

60分は4か所に出てきて、対象がそれぞれ違う

本文を通して読むと、60分という数字は4か所にありました。出どころも対象も違います。

3つ目と4つ目を、資料の言葉で置いておきます。

こどもは身体を使った遊び、生活活動、体育・スポーツを含めて、毎日最低60分以上は身体を動かすことを推奨しています。

身体を動かす時間が少ないこどもについては、学校や家庭、放課後に自宅近隣など様々な場面において、1週間を通じて、1日平均60分以上を目安にして、何らかの身体活動を行うことが健康につながります。

4つのうち「毎日」と書いているのが2つ、「1週間を通じて、1日平均」と書いているのが1つ、期間の書き方が違います。4番目だけが平均という語を使い、対象を「身体を動かす時間が少ないこども」に限っていました。

現状の図は、1日ではなく週当たりで数えている

3番目の節が現状です。使われているのはスポーツ庁の令和4年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査で、ここに出てくる60分は1週間の合計でした。

週当たりの総運動時間が60分未満の者の割合は、小学5年生の男子で9%、女子で15%、中学2年生の男子で8%、女子で18%でした。

一方で、週当たりの総運動時間が420分以上の者の割合は、小学5年生の男子で50%、女子で29%、中学2年生の男子で78%、女子で58%でした。

推奨の側の60分は1日あたり、現状の側の60分は1週間あたりです。数字は同じ60ですが、7倍の開きがある期間を指しています。420分という区切りのほうは、1日60分を7日続けた値と一致します。ただし「420は60×7である」とは資料に書かれていません。これは当サイトが計算した結果です。

尋ねた対象にも断りが付いていました。図1が扱っているのは「運動(身体を動かす遊びを含む)やスポーツの1日の合計時間(体育の授業以外)」です。体育の授業は入っていません。

区分60分未満60〜420分未満420分以上
小5男子9%41%50%
小5女子15%56%29%
中2男子8%14%78%
中2女子18%24%58%

4区分とも、3つの帯を足すとちょうど100になります。端数の処理で99や101になる区分はありませんでした。

60分未満が最も高いのは中2女子の18%、最も低いのは中2男子の8%です。同じ学年の中で、いちばん高い区分といちばん低い区分が並んでいます。男女の差は小5で6ポイント、中2で10ポイントあり、どちらも女子のほうが高い値でした。420分以上のほうは向きが逆で、小5で21ポイント、中2で20ポイント、男子のほうが高くなっています。

中間の帯にも開きがあります。小5女子の56%が4区分で最も高く、中2男子の14%が最も低い値です。中2男子は、8%と78%という両端に寄った分かれ方をしていました。

画面を見る時間は、4区分とも半数を超えている

また、学習以外でテレビやゲームの画面を見る時間が1日2時間以上の者の割合は、小学5年生の男子で62%、女子で54%、中学2年生の男子で73%、女子で70%でした(図2)。

4区分の値は54%から73%で、いちばん低い小5女子でも半数を超えています。こちらは1日あたりで数えられていて、運動時間の図1とは期間の取り方が違いました。残りの帯(2時間未満〜まったく見ない)は、順に38%・46%・27%・30%で、こちらも4区分とも合計100です。

語の定義は1番目の節にありました。

座位行動とは、座位や臥位の状態で行われる、エネルギー消費が1.5メッツ以下の全ての覚醒中の行動で、スクリーンタイムとは、テレビやDVDを観ることや、テレビゲーム、スマートフォンの利用など、スクリーンの前で過ごす時間のことを指します。

強度のほうも数で区切られています。

中強度とは3~5.9メッツ、高強度とは6メッツ以上の強度のことです。

Q&Aは2問で、数字が出るのは1問目だけ

最後の節はQ&Aで、問いは2つでした。1問目が注意すること、2問目が座る時間についてです。1問目の答えには、別のガイドラインから引いた数字が3つ並んでいました。

週当たり2日以上の休養日を設けること、1日の活動時間は長くとも平日では2時間程度、休日は3時間程度とすることとされています。

2問目のほうには数字がありません。代わりに、座る時間をひとまとめに扱わない、という断りが置かれています。

しかし、座位行動のすべてが有害であるわけではありません。学校外での読書や宿題を行うなどの座位行動は、高い学力と関連しているという報告もあり7,8) 、座位行動の内容によって結果が異なることが示されています。

2問のうち1問は、答えの中に断りが置かれています。上の引用のとおり、座位行動のすべてが有害であるわけではなく、内容によって結果が異なる、という書き方でした。

読み取れなかったこと

図1と図2の目盛は、値として読めませんでした。抽出したテキストには0%・20%・40%・60%・80%・100%という並びが出てきますが、棒のどこがどの値かは、この読み方では決まりません。この記事に書いた割合は、すべて地の文に数字として書かれているものです。図から読み取った値は使っていません。

残りの帯(41%・56%・14%・24%、38%・46%・27%・30%)は、当サイトが引き算で出した値です。資料の地の文には、60分未満と420分以上、2時間以上の割合だけが書かれています。中間の帯と、2時間未満の帯の数字は本文にありません。

参考文献8本には当たっていません。WHOのガイドライン、幼児期運動指針、アクティブ・チャイルド60min.、部活動のガイドラインは、いずれもこの資料が引いている文献であり、当サイトは原典を開いていません。この記事で書いた数はすべて、この2ページのPDFに書かれているとおりの数か、そこから当サイトが数えた結果です。

この記事が扱っていないこと

  1. 体のことは判断しません。この資料には体力・心血管代謝機能・メンタルヘルスとの関係についての記述がありますが、当サイトはその値が何を意味するかを書きません
  2. 何をどれだけやるべきかは書きません。60分や週3日という値は資料が挙げているもので、当サイトが勧めているものではありません
  3. 家庭や学校への助言はしません。資料は保護者や指導者に向けた記述を含んでいますが、当サイトはその宛先の話に入りません
  4. 年齢ごとの当てはめはしません。図1と図2が扱っているのは小学5年生と中学2年生の4区分だけで、それ以外の学年の数字はこの資料にありません

この情報が、どこから来ているか

厚生労働省のサイトに置かれているPDFを、2026年9月20日に取得して読みました(2ページ。2ページとも本文が取れています)。公的機関の資料です。

PDFからの取り出しは2つの抽出器で行い、両方で取れた行だけを引用に使っています。両方で取れた行は200行、片方にしか無い行は0行でした。引用の中で行またぎになっていた文は、空白を詰めてつないでいます。420分以上の割合を書いた1文は、段の変わり目をまたいでいたため、前の段の末尾と次の段の先頭をつないで引用しています。全角の「9%」「15%」「1日」「3メッツ」「2時間」と、「報告もあり7,8) 、」の空白は、抽出テキストにあるとおりに写しました。

2行・4か所・2問・3つの帯・6ポイントと10ポイントという数は、いずれも当サイトが数えた結果です。資料の側にこれらの数字は書かれていません。数えた範囲は、この2ページから取り出した本文です。

出典: 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」RECOMMENDATION 2「こども版」(全2ページのPDF。2026年9月20日に取得)。公的機関の資料です。出典は1系統です。

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