デスクワークの座りすぎ対策は何が挙がっているか|27個中12個に事例が付く
図に並ぶ対策は27個。後ろの事例集9件が挙げている番号は12個で、残る15個には事例が付いていない
座って仕事をする時間が長い人に向けた資料が、国の身体活動・運動ガイド2023の別冊として1枚出ています。4ページのPDFで、前半が理論の図、後半が職場での事例集です。今回はこれを取得し、図に並ぶ対策の数と、事例が付いている番号を数えました。
この資料が何に向けて書かれているか
冒頭の4項目のうち、1つ目はこう書かれています。
働く世代は運動習慣者が少ない傾向があり、特にオフィスワーカーのように座って仕事をする時間が長い職種では、歩数が少なく、身体活動レベルが低くなる可能性が高い。
4つ目に、この資料が何を載せるかが書かれています。
ここでは、座って仕事をする時間が長い人が職場で活動的に過ごすための対策を講じるうえで、参考となる理論モデルと研究事例について紹介する。
対策と事例を並べる資料であって、個人向けの運動の指示ではありません。本文にも、個人の努力だけでは難しい側面がある、と書かれています。
対策の図には、27個の番号が振られている
2ページ目が図3で、丸数字の付いた対策が並びます。①から㉗まで、数えると27個です。番号のあとに、能力(C)・機会(O)・モチベーション(M)のどれに効くかが括弧で添えられています。たとえば末尾の3つは次の形です。
㉕フィットネスルーム(O)
㉖スタンディングデスク(O)
㉗活動的でいられる職場環境(O)
図の側に、番号の使い方が1行で書かれています。
※ 各施策の番号については、次項の事例集の番号と対応。
つまり、どの対策に実例があるかは、番号を突き合わせれば分かる形になっています。
事例集の9件が挙げている番号は、12個だった
3ページ目からの事例集は9件で、それぞれの題に丸数字が付いています。付いている番号を全部集めると、①⑥⑦⑪⑬⑭㉒㉓㉔㉕㉖㉗の12個でした。
- ⑬と⑭は、9件のうち8件に付いている。⑬は職場主導の運動教室など、⑭は情報提供です
- ⑬⑭が付かないのは事例9だけで、こちらは㉒㉖㉗、建物のレイアウトと机・職場環境の側です
- 残る15個には、事例が1件も付いていない。法令やインセンティブ、天気や日照時間、歩道や自転車置き場などが、その15個に入ります
27個のうち12個にしか実例が付いていない、という並びです。資料は、図3について実現可能性が低い事例も含まれると先に断っており、費用対効果の視点も踏まえて実際の取組を決めていく、と書いています。
対照群が書かれているのは、9件のうち5件
事例の読み方を決めるために、比較の相手が本文に書かれているかどうかで9件を分けました。
- 対照群または比較の相手が書かれている —— 5件(事例1・2・4・5・9)
- 無いと明記されている —— 1件。事例3の本文に、対照群は設定していませんと書かれています
- 触れていない —— 3件(事例6・7・8)
比較の相手の書き方も、件ごとに違います。事例1は10の工場を5つずつに分け、対照群の側にも個人への教育教材の提供のみを実施しています。事例5は、フィードバック及び通常の労働衛生サービスのみを提供した対象群と書かれていました。何もしない群、とは書かれていません。
人数は32人から2,929人まで、期間は7件に書かれている
各事例の対象人数は、本文に数で書かれています。
- 事例1 —— 日本の10の工場に勤める2,929人(4年間)
- 事例2 —— 101人(4ヵ月間)
- 事例3 —— 490人(4週間)
- 事例4 —— 日本の11の職場に勤める59人(10週間)
- 事例5 —— 日本の8つの職場に勤める208人(3ヵ月間)
- 事例6 —— 32人(11週間)
- 事例7 —— 高齢労働者69人
- 事例8 —— オフィス労働者76人、うち解析対象者50人(8週間)
- 事例9 —— リノベーション実施群13人と対照群29人
いちばん少ないのは事例6の32人、いちばん多いのは事例1の2,929人で、約92倍の開きがあります。期間が本文に書かれているのは7件で、事例7と事例9には書かれていません。1件あたりの規模が二桁違うものが、同じ一覧に並んでいます。
歩数と分で書かれている事例は、2件だけ
9件のうち、歩数や分という単位で結果を書いているのは事例8と事例9です。事例8は、介入前後で1日当たりの中高強度身体活動が7.3分、歩数は873歩、有意に増加したと書かれています。勤務日と休日を分けた追加分析もあり、40人については勤務日と休日、34人については出社勤務日とリモート勤務日に分けています。
事例9のほうは、座っている時間と立つ・歩く時間の変化です。
オフィス環境改善(リノベーション)により、座っている時間が1日当たり約40分減少し、立つ、歩くといった低強度の身体活動が1日当たり約24分増加しました。
残る7件は、歩数や分ではない指標で書かれています。事例3は睡眠の質、事例4は活力・対人ストレス・仕事の満足度などです。同じ事例集の中で、測っているものが件ごとに違います。
読み取れなかったこと
図1・図2・図4の中身は、値として読めませんでした。抽出したテキストには図の中の語が断片で並びますが、軸の目盛と系列の対応が崩れています。図4には620・580・540・500と250・225・200という数が並んでいますが、どちらの軸がどの図のものかは、この読み方では決まりません。本文に書かれている約40分・約24分だけを採りました。
事例5の小規模事業場の件は、資料の語のまま書きます。大〜中規模事業場では介入効果が認められた一方で、小規模事業場では認められなかった、と書かれています。なぜそうなるかは書かれていません。
参考文献13本には当たっていません。番号は振られていますが、たどっていません。抽出器2つで取れた行だけを引用に使っており、片方にしか無い行が3行ありました(いずれも参考文献の欄で、引用には使っていません)。
同じINFORMATIONの別の号は、この記事では読んでいません。読んだのはINFORMATION 2の4ページだけです。
この記事が扱っていないこと
- 体のことは判断しません。この資料にはHDLコレステロールや血糖の変化も書かれていますが、当サイトはその値が何を意味するかを書きません。数と単位を、資料の語のまま置くところまでです
- 職場に何を入れるべきかも書きません。27個の対策のどれがよいか、という順位は資料にも付いていません
- 種目・回数・時間は指示しません。歩数の内訳のほうは1日8,000歩の内訳|歩行6,000歩と生活活動2,000歩に書いています
この情報が、どこから来ているか
厚生労働省のサイトに置かれているPDFを、2026年9月18日に取得して読みました(828,289バイト / 4ページ。4ページとも本文が取れています)。公的機関の資料です。
PDFからの取り出しは2つの抽出器で行い、両方で取れた行だけを引用に使っています。両方で取れた行は329行、片方にしか無い行は3行でした。
27個・12個・15個・5件・1件・3件は、いずれも当サイトが番号を数えた結果です。資料の側に「27個」「12個」という数字は書かれていません。数えた範囲は、この4ページから取り出した本文です。
出典: 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」INFORMATION 2「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」(全4ページのPDF。2026年9月18日に取得)。図の作成者として、令和4年度厚生労働科学研究費補助金の研究班が記載されています。公的機関の資料です。出典は1系統です。