全身持久力の基準値は2023年に何が変わったか|14区分中6つが下がった

表2に並ぶのは14区分。2013年の値と並べられるのは10区分で、下がったのが6、同じ値のままが3、上がったのが1でした

全身持久力の基準値が2023年に改められた、と国の身体活動・運動ガイド2023の別冊に書かれています。2ページのPDFです。今回はこれを取得し、新しい表と2013年の表が何区分で並べられるか、そのうち何区分の値が動いたかを数えました。

冒頭のポイント欄は2行で、どちらにも数は無い

1ページ目の先頭に、丸印の付いた行が2つ並びます。改訂したという事実と、その使い方です。

全身持久力について、日本人を対象とした研究のレビューを行い、性・年代別の基準値を設定した。

運動指導者は、新たな基準値を参考にしつつ、運動指導を行うことが望まれる。

2行とも、具体的な数字は書いていません。数が出てくるのは、本文の表1と表2のほうです。

表2は14区分で、2013年の欄が「なし」なのは4つ

表2は性・年代別の新しい基準値で、単位はメッツです。年代は7区分、性別が2つなので、マスは14あります。各マスに2013年の値が併記されていますが、2013年の欄が「なし」になっている区分が4つありました。10〜19歳の男女と、70〜79歳の男女です。

したがって、新旧を並べて比べられるのは残りの10区分だけになります。

区分2023年2013年差
男性 10〜19歳14.5(参考値)なし—
男性 20〜29歳12.511.0上がった
男性 30〜39歳11.011.0同じ
男性 40〜49歳10.010.0同じ
男性 50〜59歳9.010.0下がった
男性 60〜69歳8.09.0下がった
男性 70〜79歳7.5なし—
女性 10〜19歳12.0(参考値)なし—
女性 20〜29歳9.59.5同じ
女性 30〜39歳8.59.5下がった
女性 40〜49歳7.58.5下がった
女性 50〜59歳7.08.5下がった
女性 60〜69歳6.57.5下がった
女性 70〜79歳6.0なし—

下がったのが6区分、同じ値のままが3区分、上がったのが1区分です。上がった1つは男性の20〜29歳で、11.0から12.5になっています。10〜19歳の2区分には、資料の側から断りが付いていました。

10~19歳の値は死亡や疾患発症のリスクとの関係が明確でないため参考値とする。

本文は「50歳代以上」と書くが、表では女性の30歳代から下がっている

改訂の理由は4番目の節に書かれています。旧い基準値が実情とずれていた、という説明で、方向が2つに分かれます。低すぎた側が1つ。

「健康づくりのための身体活動基準2013」で示された全身持久力の基準値は、日本人男性の20歳代で推定平均値より 1~1.5メッツ低く、約90%の20歳代男性が旧基準値を達成していました。

高すぎた側がもう1つです。

一方、50歳代以上では男女とも旧基準値が推定平均値より1~1.5メッツ高く、この世代で旧基準値を達成できる者は5~25%に過ぎませんでした。

この文は「50歳代以上」と書いていますが、表2で値が下がっているのは、女性では30〜39歳からです。女性の30〜39歳は9.5から8.5へ、40〜49歳は8.5から7.5へ動いています。下がった6区分のうち2区分は、本文が挙げた「50歳代以上」の外側にありました。資料はこの2区分について、個別の理由を書いていません。

なぜ実情とずれることが問題なのかも、同じ節に書かれています。

「余裕で基準値を超えている」「基準を達成することはとてもできない」といった誤った認識を、健康づくりに取り組む多くの個人や集団に対して生じさせる可能性が懸念されます。

表1は別の単位で、換算のしかたが書かれている

表1のほうは推定平均値で、単位はmL/kg/分です。表2のメッツとは単位が違います。並べるための式が、表2の下に添えられていました。

メッツ値を3.5倍することで最高酸素摂取量(単位:mL/kg/分)の基準値に換算することが可能である。

表1の値は、男性が51.2・43.2・37.2・34.5・31.7・28.6・26.3、女性が43.2・33.6・30.6・27.4・25.6・23.4・23.1で、どちらも10〜19歳から70〜79歳の順です。男性の20〜29歳と女性の10〜19歳は、どちらも43.2で同じ値でした。

この式を使った計算は、当サイトが行ったものです。男性20〜29歳の新しい基準値12.5メッツを3.5倍すると43.75で、表1の推定平均値43.2に近い値になります。男性50〜59歳では9.0メッツが31.5、表1は31.7です。資料の側に「基準値は推定平均値に合わせた」という文はありません。ここで言えるのは、両者が近い数になっている、というところまでです。

基準値が何を意味するかは、1文だけ書かれている

表2の下には、達成の判定のしかたが1文で置かれています。

表のメッツ値の強度の運動あるいは生活活動を約3分間継続できた場合、全身持久力の基準を満たすと考えられる。

この「約3分」を使った例が、3番目の節にもありました。

重い荷物を運ぶといった8メッツの強度の活動を3分以上継続することができるのは、男性の60歳代、女性の40歳代のおよそ半数であることが見て取れます。

この1文は、表1の数え方を確かめる材料にもなりました。表1の男性60〜69歳は28.6、女性40〜49歳は27.4です。どちらも3.5で割ると8メッツ前後になります。抽出したテキストでは表の値が縦一列に並んでいて、どの数がどの年代のものかは並び順から当てるしかありませんでしたが、この1文の言う2区分と計算が合いました。

数の出どころは23本の論文で、図1の注記は22本と17本

推定平均値がどこから来たかは、3番目の節に書かれています。

これまでに蓄積された日本人を対象に全身持久力を測定した研究結果を収集・統合することにより、日本人の性・年代別の全身持久力の標準値(平均値とその分布)の推定を行いました。

2名の研究者が検索された文献を独立してレビューし、最終的に23本の原著論文が採択された。

採択は23本です。ところが2ページ目の図1には、男性(22本、54,611人)・女性(17本、24,100人)という注記が付いています。22と17を足すと39で、23にはなりません。1本の論文が男女の両方を報告していれば両方に数えられる、という読み方はできますが、その断りは資料に書かれていません。本文の側は、延べ男性54,611人・女性24,100人という人数を挙げています。人数のほうは図1の注記と一致していました。

測り方は6つ挙がっていて、そのうち実測は1つ

5番目の節が評価法です。挙がっているのは、呼気ガス分析による実測、2〜3段階の運動負荷試験からの推定、20mシャトルラン、6分間歩行、特定健康診査の問診票での歩く速度、ウェアラブルデバイスによる推定の6つでした。このうち実測と書かれているのは最初の1つだけで、残りの5つには「推定」または「簡便な評価」という語が付いています。

VO2peak/kgを実測するためには、高価な運動負荷装置や呼気ガス分析装置とそれを駆使する高い技術が必要であり、個人が気軽にVO2peak/kgを実測することは困難である。

読み取れなかったこと

図1のパーセンタイルの値は、区分に割り当てられませんでした。抽出したテキストには50.5・44.2・60.3・53.8・43.3・39.3・35.2・28.5・27.9・25.5・24.2といった数と、95・75・50・25・5という並びが出てきますが、どの数が何歳代の何パーセンタイルかは、この読み方では決まりません。平均値のほうは表1に数値として並んでいるので、そちらだけを採りました。

表1と表2の数の割り当ては、並び順から当てたものです。抽出したテキストでは、表が縦一列の数字の列になって出てきます。男性の値も女性の値も年代が上がるほど小さくなること、本文の「男性の60歳代、女性の40歳代」という記述と3.5倍の換算が合うことの2点で確かめましたが、原文の版面を1マスずつ突き合わせたわけではありません。

参考文献4本には当たっていません。番号は振られていますが、たどっていません。この記事で書いた数はすべて、この2ページのPDFに書かれているとおりの数か、そこから当サイトが数えた結果です。

この記事が扱っていないこと

  1. 体のことは判断しません。この資料には総死亡や循環器病死亡との関係についての記述がありますが、当サイトはその値が何を意味するかを書きません。数と、その数に付いている条件を、資料の語のまま置くところまでです
  2. 基準を満たしているかどうかの判定はしません。表2の値は資料が示しているものであり、当サイトが誰かに当てはめるものではありません
  3. 種目・強度・時間は指示しません。5番目と6番目の節には運動の強度や頻度の記述がありますが、当サイトが勧めているものではありません
  4. 宛先の話には入りません。この資料は運動指導者に向けた記述を含んでいますが、当サイトはその立場の話を書きません

この情報が、どこから来ているか

厚生労働省のサイトに置かれているPDFを、2026年9月20日に取得して読みました(2ページ。2ページとも本文が取れています)。公的機関の資料です。

PDFからの取り出しは2つの抽出器で行い、両方で取れた行だけを引用に使っています。両方で取れた行は379行、片方にしか無い行は0行でした。引用の中で行またぎになっていた文は、空白を詰めてつないでいます。「推定平均値より 1~1.5メッツ低く」の全角の空白と、「1~1.5」「5~25%」「3分」の全角の数字は、抽出テキストにあるとおりに写しました。

14区分・10区分・6つ・3つ・1つ・6つの評価法という数は、いずれも当サイトが数えた結果です。資料の側にこれらの数字は書かれていません。数えた範囲は、この2ページから取り出した本文です。

出典: 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」INFORMATION 6「全身持久力(最高酸素摂取量)について」(全2ページのPDF。2026年9月20日に取得)。公的機関の資料です。出典は1系統です。