家具の転倒防止はどの家具からやるか|高さや重さの基準は無いと書かれる

何センチ以上の家具なら固定が要るのか。東京消防庁の資料は、その線を引いていませんでした。かわりに書かれていたのは、全部に手が回らないときの順番です。

家具の転倒防止を始めようとすると、背の低い棚まで要るのか、どこで線を引けばよいのかが気になります。東京消防庁の「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」(令和6年1月)は、巻末近くに「多く寄せられる質問」を9問置いています。そのうち7問目が、ちょうどこの問いでした。

質問7: 高さや重さの基準は「ありません」

どれぐらいの高さの家具に転倒防止をしなくてはならないのですか?

答えの1文目は、次のとおりです。

対策を実施しなくてはならない家具の高さや重さの基準はありません。これは、家具の形状や、収容物による重心の違い、発生する地震の特徴等によりどの家具が倒れるとは一概に言えないからです。

理由として挙がっているのは3つ——家具の形、中に入れた物による重心、地震の揺れ方です。背の高さや重さだけでは、倒れるかどうかが決まらない、という書き方でした。数字の線が無いのは、書き忘れではなく、引けないと答えていることになります。

全部が難しいときの順番

答えは続けて、全部の家具に対策するのが難しい場合の進め方を書いています。

すべての家具に対策を行うことが最も安全ですが、すべての家具に行うことが困難であれば、寝室などに家具を置かないことや、家具の倒れる方向を考慮した家具の置き方にするなどの工夫をした上で、重量や高さのある家具を優先に、出来る家具から順番に対策を実施してください。

1文の中に、順番が入っています。置き場所と向きを先に直し、そのうえで重量や高さのある家具から器具の対策をする、という順番です。

「重量や高さのある家具を優先に」は、置き方の工夫の「上で」置かれています。器具の前に置き方、という順番は、同じ資料の本文が示す3つの段(集中収納→レイアウト→器具で固定)と同じ向きです。段の話は穴を開けずに家具を固定する方法|器具を2つ以上組み合わせるに書いています。

なお、「寝室など」は、本文では「寝る場所」「座る場所」の話として出てきます。寝る場所のそばの家具の配置|地震のときに避けにくいと書かれるで扱いました。

ほかの質問に書かれていること(9問のうち5問)

7問目のほかに、始める前に気になりそうな問いが5つありました。8問目(穴を開けられない場合)と9問目(免震マンション)は、既存の記事で扱っています。

質問1: 器具の値段

対策器具の価格は、対策器具の種類によって異なり、安いもので数百円から、高いもので数千円程度です。

売っている場所として、家具販売店・ホームセンター・百貨店の防災用品コーナーが挙がっています。令和6年1月の資料の記述で、いまの店頭の値段を当サイトが確かめたものではありません。

質問2: 取り付けを頼める先

工務店やシルバー人材センター等で取付けサービスを実施している場合がありますので、お近くの工務店やシルバー人材センター等にご確認ください。

店舗によっては、取り付け方や飛散防止フィルムの貼り方のアドバイザーを置いているところがある、とも書かれています。

質問3: 助成

区市町村の中には、高齢者や障害者世帯等に対して、無料または少額で対策器具等の配布や取付けに関する支援事業を実施しているところがあります。

対象と中身は区市町村ごとに違う、と続きます。確かめる先は、お住まいの区市町村です。

質問5: しなければならないのか

都民の責務として、東京都震災対策条例第8条第2項第二号に、家具の転倒防止を自ら震災に備える手段を講ずるよう努めなければならないとされています。

語尾は「努めなければならない」です。東京都の条例の話で、ほかの道府県については書かれていません。事業者については、事業所防災計画に定める事項だという別の文が続きます。

質問6: 載っていない器具を使ってよいか

転倒防止器具を購入するときは、実験等で効果を検証した商品等を選び、転倒防止器具の効果が十分に発揮できるように対策を行いましょう。

資料に載っている器具は「ほんの一部」とも書かれています。巻末の家庭内チェックリストにも、器具を家具の重さや形状に応じて選んでいるかを問う項目(19番)がありました。

読み取れなかったこと

「重量や高さのある家具」が何キロ・何センチからかは、書かれていません。7問目の1文目が「基準はありません」なので、これは欠けているのではなく、資料の立場どおりです。

質問3の助成について、どの区市町村が何をしているかは、この資料には載っていません。当サイトも一覧を作っていません。質問1の「安いもので数百円から、高いもので数千円程度」が、どの器具を何個使う場合の値段なのかも書かれていませんでした。

この記事が扱っていないこと

  1. 器具の商品名は挙げません。当サイトは商品を選びません
  2. 取り付けの手順は書きません。資料自身が、器具や家電の取扱説明書に従うよう求めています
  3. 東京都以外の条例は調べていません。質問5は東京都の条例の話です

この情報が、どこから来ているか

9問のうち、この記事で引いたのは7問目と、1・2・3・5・6問目です。4問目は資料そのものの案内でした。引用は、PDF から取り出した文字のうち、2つ以上の抽出器で同じ文字が取れた行だけを使っています。

出典: 東京消防庁防災部震災対策課「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック —地震から命を守る家具転対策—」(令和6年1月・PDF 全44ページ)の「多く寄せられる質問」(33〜34ページ)と巻末のチェックリスト。2026年9月30日に取得して読みました。当サイトの家具対策の記事は、いずれもこの同じ資料に依拠しています。出典は1系統です。