地震のあとの停電、3日で約8割が解消——ただしその割合には「復旧作業に着手不可能な地域」が含まれている
停電が何日続くのかを調べると、割合と日数の組が出てきます。数字はあります。付いている注記まで読むと、意味が変わります。
2011年3月、東北電力管内で起きたこと
経済産業省が内閣府の専門調査会に出した資料に、規模が並んでいます。図表の項目なので、文ではなく項目のまま引きます。
供給支障電力 約790万kW (地震前需要の約6割が停電)(経済産業省提供資料 PDF 4ページ)
最大停電戸数 約466万戸(同)
停電した地域も、県単位で書かれています。
全域: 青森県,岩手県,秋田県 ほぼ全域:宮城県,山形県 一部: 福島県(同)
解消の割合と、日数
発災後 3日で約80%※の停電を解消(同)
発災後 8日で約94%※の停電を解消(同)
この2行に、同じ「※」が付いています。注記はすぐ下にあります。
※復旧作業に着手不可能な地域を含む(同)
解消していない残りの中に、作業そのものが始められない地域が入っているという書き方です。同じ資料には、終わりの日付も載っています。
6月18日11時3分に復旧作業に着手可能な地域の停電はすべて復旧(同)
3月11日から6月18日です。「8日で94%」と「6月18日」は、どちらもこの1枚の資料に並んでいます。
読めなかったこと
「着手不可能」が何を指すのかは、この資料には書かれていません。「着手」という語は資料全体で4か所にしか出てきません。その4か所は、いま引いた2つの言い回し——「着手不可能な地域を含む」が2回、「着手可能な地域の停電はすべて復旧」が2回——で全部です。津波の浸水なのか、立入りの制限なのか、別の事情なのか——当サイトはこの資料からは決められませんでした。推測は書きません。
これから起きる地震では、どう想定されているか
上は起きたことの記録です。想定のほうは、内閣府が別に書いています。
(1)電力:発災直後は約5割の地域で停電。1週間以上不安定な状況が続く。(内閣府「広報ぼうさい」第74号)
日数ではなく「不安定」という言葉が使われています。復旧の完了ではなく、状態の続き方を書いた文です。
この想定が、どの地震を指しているかも同じ資料にあります。
防災・減災対策の対象とする地震は、被害が大きく首都中枢機能への影響が大きいと考えられる都心南部直下地震(Mw7.3)を防災対策の主眼としています。(同)
この記事が扱っていないこと
- 2つの数字は、別のものです。3日80%・8日94%は2011年の東北電力管内で起きたこと、約5割・1週間以上不安定は首都直下地震の想定です。並べていますが、足したり比べたりはできません
- 自分の地域が何日で戻るかは書けません。どちらの資料も、地域単位の見通しを示したものではありません
- 蓄電池・ポータブル電源・太陽光発電は扱いません。サジェストの上位には出ますが、当サイトも物販で収益を得る側にいます。製品の比較は、出典が製品を売る側の資料になりやすいため、この記事では扱いません
- 停電が復旧したときの火災は、別に書いています——地震の火災は、停電が復旧したあとにも起きる
この情報が、どこから来ているか
出典は2系統です。1つは経済産業省が内閣府の専門調査会に提出した資料、もう1つは内閣府の広報誌です。どちらも公的機関のものですが、前者は電力会社の実績の要約であり、独立した検証ではありません。
前者はPDFで、本文を機械で取り出したテキストです。版面そのものではありません。取り出しは2つの独立した抽出器で行い、両方が一字一句同じ行として返したものだけを引用しています。片方でしか取れなかった行は使っていません。
引いたのが図表の項目であることも書いておきます。「供給支障電力」「最大停電戸数」「停電復旧状況」は資料の中で表と箇条の形で並んでおり、文章として書かれた一文ではありません。行の中の空白は、資料の版面の並びをそのまま残しています。
出典: 参考資料2「3月11日の地震により東北電力で発生した広域停電の概要」経済産業省提供資料(平成23年9月10日。内閣府 東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会 第9回。PDF 4ページ)/ 内閣府「広報ぼうさい」第74号 特集 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)。PDFから機械的に取り出したテキストであり、版面そのものではありません。引用は2つの抽出器の出力が一致した行に限っています。