賃貸の地震対策は何からやるか|穴を開けずに置き方を見直す

地震対策は、賃貸でもできることから

賃貸住宅だと、壁に金具を取り付けるような地震対策には抵抗を感じる人も少なくないはずです。退去のことを考えると、壁や床に工事を加える対策は後回しにしたくなります。

東京消防庁の資料「地震から命を守る家具転対策」(2024年1月発行)には、器具で家具を固定する対策だけでなく、家具の「置き方(配置)」を見直すという対策も示されています。置き方の工夫は、壁や床に何も取り付けずに始められるのが特徴です。

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まず知っておきたい数字

東京消防庁の資料には、割合の数字が2つ出てきます。混ざりやすいので、先に分けておきます。

1つはけがの原因です。近年の地震でけがをした人のうち、約3〜5割が家具類の転倒・落下・移動によるものだった、と書かれています。

もう1つは階で分けた数字で、こちらは、けがの割合ではありません。東日本大震災のあとに東京都内で行われたアンケート調査で、家具類が転倒・落下・移動した割合を階層別に見たものです。1又は2階(N=214)で16.8%、11階以上(N=36)で47.2%(平成23年、東京消防庁調べ)。そのうち転倒や落下でけがをしたかどうかは、この数字には入っていません。また11階以上はN=36で、4つの区分の中でいちばん少ない標本です。

配置を見直すだけでも、対策になる

東京消防庁の資料は、家具が危険になりやすい場所を4つの条件で整理しています。

いずれも、家具を今の位置から動かすだけで確認・改善できる条件です。4条件それぞれの原文と確認ポイントは、地震に備えた家具の配置|危険になりやすい場所は4つの条件で詳しく解説しています。

穴を開けられない場合の質問が、資料に1つ置かれている

同じ資料の質問と答えの節は9問あり、そのうち8問目が、壁や家具に穴を開けられない場合を正面から扱っています。

壁や家具に穴を空けられないのですがどのように対策をすれば良いですか?
最も効果の高い家具転対策器具はネジで固定するもの(L型金具等)です。しかし、賃貸住宅や大切な家具にキズをつけたくない方には、穴を開けなくて済む器具を、2つ以上組み合わせて行う方法があります。例えば、ストッパー式器具(もしくはマット式)とポール式器具を2つ組み合わせることで、一番効果の高いL型金具と同等の効果が期待できますので、こうした方法で対策を行うことも有効です。

条件は「2つ以上組み合わせて」です。挙げられている例はストッパー式(もしくはマット式)とポール式の2つで、この組み合わせならL型金具と同等の効果が期待できる、という書き方でした。「同等」という語が出てくるのは資料の中でこの1か所だけで、器具を1つだけ使う場合について同等と書いた箇所はありません。

巻末のチェックリストは、27項目のうち7項目が置き方と収納だけで満たせる

巻末(35〜37ページ)の「家庭内の転倒・落下・移動防止チェックリスト」は27項目で、置き方や収納の仕方を変えるだけで満たせるものと、器具の取り付けや固定の作業が要るものが混ざっています。置き方と収納だけで満たせるのは、次の7つでした。

テレビが転倒・落下・移動しても、人に当たったり、避難障害にならないところに置いている。
冷蔵庫が移動しても、避難障害にならない場所に設置している。
冷蔵庫や家具類の上に、落下しやすい物を置いていない。
窓ガラスの近くに、大型の家電製品や家具を置いていない。
重いものを、できるだけ下に収納している。
家具が転倒しても、避難路を塞がない置き方をしている。
出入口の近くにキャスター付きの家具類を置いていない。

最後の1つ(27番)は、高層階(概ね10階以上)向けの項目です。残りの20項目は、器具の取り付けや固定の作業が前提の項目(1・3・6番、9〜17番、19番、21〜26番)と、8番の「家電製品は、付属している取扱説明書に従って転倒・落下・移動防止対策を行っている。」です。8番はやり方が製品の側に委ねられているため、穴が要るかどうかはこの数え方では決まりません。

この7つという分け方は、当サイトが27項目を読んで分類した結果です。資料の側に「穴を開けずにできる項目」という区分も、その数も書かれていません。

この記事が扱っていないこと

  1. 契約の話は判断しません。原状回復・敷金・契約という語は資料に1件も出てこず、当サイトも書きません
  2. 器具の商品名は挙げません。資料は方式(ストッパー式・マット式・ポール式など)で書いており、この記事もその範囲にとどめます
  3. 効果の大きさは数字にしません。「同等の効果が期待できます」は資料の書き方で、当サイトがこれを数字に直すことはしません

配置は、頭の中だけでは分かりにくい

4つの条件を並べて聞くと単純に見えますが、実際の部屋で、出入口からも寝る場所からも窓からも離れている場所を探すのは、意外と頭の中だけでは把握しにくいものです。特に賃貸で家具の配置を一度に大きく変えにくい場合、まず今の配置がどの条件に当てはまっているかを確認するところから始めるのが現実的です。

自分の家で確かめるなら、間取りに家具(6種)を置くと、地震で危なくなりやすい場所が4つの条件で分かります。器具を使わず、家具の置き方を変えるだけでできる対策を、動かして安全度を上げるところまで確認できます。

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固定具を使わず、収納の中身の工夫でできる対策は家具を固定できないときの対策|収納の中身を下と上で分けるで紹介しています。

この情報が、どこから来ているか

出典: 「地震から命を守る家具転対策」東京消防庁防災部震災対策課(発行2024年1月)。PDF(全44ページ)(東京消防庁ホームページ)を2026年9月20日に取得して読みました。

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