職場の騒音85dBとイヤホンの音量|厚労省のガイドラインは事業者の線

厚生労働省の騒音障害防止のためのガイドラインで、85dBは、騒音作業のある職場で事業者が測る等価騒音レベルの線でした。同じガイドラインの許容基準の表では、85dBの1日のばく露時間は8時間00分です。

85dBという数を見かけて、イヤホンの音量の線だと思っていないか。厚生労働省のガイドラインには85dBが何度も出てきますが、どれも騒音作業のある職場の話でした。線を守る側は事業者で、時間の単位は1日でした。今回は、ガイドラインの85dBの使われ方を並べました。

先に: ガイドラインの宛先は、騒音作業の職場の事業者

ガイドラインの目的は、こう書かれています。

本ガイドラインは、労働安全衛生法令に基づく措置を含め、騒音障害防止対策を講ずることにより、騒音作業に従事する労働者の騒音障害を防止することを目的とする。

事業者の責務の項は、こうです。

別表第1又は別表第2に掲げる作業場を有する事業者(以下「事業者」という。)は、当該作業場について、本ガイドラインに基づき適切な措置を講ずることにより、騒音レベルの低減化等に努めるものとする。

もとの法律は労働安全衛生法で、第22条は事業者に、騒音などによる健康障害を防ぐため必要な措置を講じるよう求めています。この記事は、ガイドラインと法の条に書かれている数と宛先を並べるところまでです。ガイドラインでヘッドホンの音楽鑑賞が出てくるのは、解説のうち雇い入れのときの聴力の検査の項の1か所で、音楽を聴く時間や音量の線は書かれていません。

85dBの使われ方: 3つ

1つめは、作業場所の評価です。作業環境測定の結果を、A測定の平均値とB測定の値で区分し、どちらも85dB未満なら第Ⅰ管理区分、85dB以上90dB未満を含めば第Ⅱ管理区分、90dB以上を含めば第Ⅲ管理区分とする表が載っています。表の区分は、当サイトがPDFの版面を目で見て読み取ったものです。

2つめは、定期の測定の省略です。測定は6月以内ごとに1回と書いたうえで、こう続いています。

ただし、第Ⅰ管理区分に区分されることが継続している場所又は等価騒音レベルが継続的に 85dB 未満である場所については、当該定期に行う測定を省略することができる。

3つめは、作業時間の管理です。

事業者は、作業環境を改善するための措置を講じた結果、第Ⅰ管理区分とならない場合又は等価騒音レベルが 85 ㏈未満とならない場合は、次の表を参考に、労働者が騒音作業に従事する時間の短縮を検討すること。

3つとも、事業者が職場の騒音を測って決めることでした。

許容基準の表: 1日のばく露時間

作業時間の管理の項にある表を並べます。表の数は、当サイトがPDFの版面を目で見て読み取ったものです。

等価騒音レベル(dB)1日のばく露時間
858時間00分
866時間20分
875時間02分
884時間00分
893時間10分
902時間30分
912時間00分
921時間35分
931時間15分
941時間00分
950時間47分
960時間37分
970時間30分
980時間23分
990時間18分
1000時間15分

85dBの8時間が、88dBで4時間、91dBで2時間、94dBで1時間と、3dBごとに半分になっていました(当サイトが表から読んだ)。表の下には、日本産業衛生学会の「許容濃度等の勧告(2022年度)」の表の一部抜粋だと書かれています。

イヤホンの音楽の表とは、宛先と単位が違う

このガイドラインの表は、事業者が労働者の作業時間の短縮を考えるときの参考として置かれていました。時間の単位は1日です。イヤホンで聴く音楽の時間を1週間で数える表は、このガイドラインにはありませんでした。WHOの資料にある1週間の表は、この記事の下の関連する記事で並べています。

ガイドラインの85dBイヤホンの音楽
宛先騒音作業の作業場を有する事業者(線は書かれていない)
何を測るか職場の等価騒音レベル(線は書かれていない)
時間の単位1日(許容基準の表)(線は書かれていない)

85・90・8時間00分・6月は資料に書かれている数で、3dBごとに半分という読みは当サイトが表から読んだことです。

85dBを見かけたときに確かめる3つ

ガイドラインの書き方を、数を読む順に並べると、確かめることは3つです。

  1. その85dBは、職場の等価騒音レベルの話か。ガイドラインの85dBは、騒音作業の作業場で測る数
  2. 時間の単位は1日か、1週間か。許容基準の表は1日のばく露時間
  3. 線を守る側は誰か。ガイドラインの宛先は、別表の作業場を有する事業者

場面ごとの時間を入れて確かめる

場面ごとに、1日に聴く時間と週の日数、音量を入れると、dBで入れた場面はWHOの週の表の行と並べて、週の枠の何割にあたるかを出すツールを置いています。職場の騒音の線は並べません。

イヤホンの音量を、場面ごとにWHOの目安と並べる →

読み取れなかったこと

イヤホンで音楽を聴く時間を、このガイドラインの表で数えてよいかは、書かれていません。ヘッドホンでの音楽鑑賞は、解説のうち雇い入れのときの聴力の検査の項に1か所出てくるだけで、時間や音量の線は書かれていませんでした。

許容基準の表の100dBより上も、ガイドラインの表には載っていません。表の下に、勧告の表の一部抜粋と書かれていました。

この記事が扱っていないこと

  1. 耳の検査や耳の状態は扱いません
  2. 聴覚保護具の製品は比べません。ガイドラインは、事業者が遮音値を目安に選ぶと書いています
  3. 職場ごとの測り方の細かい手順は扱いません

この情報が、どこから来ているか

出典: 厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドライン」(令和5年4月20日 基発0420第2号の別添・PDF)、「労働安全衛生法」(昭和四十七年法律第五十七号・e-Gov 法令検索)。いずれも2026年9月25日に取得して読みました。