犬と住む賃貸の退去と臭い|都のガイドラインが分ける2つの場合
国と東京都のガイドラインは、どちらも飼育ペットによる柱等のキズや臭いを、借主の負担の側に置いていました。東京都は、ペットの飼育が禁じられている場合を、もう1つの場合として分けています。
犬と暮らした賃貸住宅を出るとき、臭いの費用はどうなるのか。国土交通省の原状回復のガイドラインと、東京都の賃貸住宅トラブル防止ガイドラインには、どちらもペットの行があります。東京都のほうは、その行を2つの場合に分けていました。今回はその行と、国のガイドラインにある裁判の事例を数えました。
先に: ガイドラインは一般的な基準で、契約が先に来る
国のガイドラインは、自分の位置づけをこう書いています。
ガイドラインは、あくまで負担割合等についての一般的な基準を示したものであり、法的な拘束力を持つものでもない
東京都のガイドラインの図解にも、次の注があります。
これらの負担区分は一般的な例示であり、損耗等の程度によっては異なる場合があります。
この記事は、2つのガイドラインが書いている区分と事例を並べるところまでです。実際の負担は、契約の内容と部屋の状態で変わります。
国のガイドライン: ペットは借主の側の1行
国のガイドラインの修繕分担表では、借主の負担となるものの【建具等、襖、柱等】の欄に、2つの行があります。そのうちの1つがペットです。
飼育ペットによる柱等のキズ・臭い(ペットによる柱、クロス等にキズが付いたり、臭いが付着している場合)
もう1つは、落書き等の故意による毀損でした。臭いは、柱だけでなくクロス等に付着している場合も括弧の中に入っています。
東京都のガイドライン: 2つの場合
東京都のガイドラインの図解では、ペットの行が、飼育ペットによる柱等のキズや臭いと、ペットの飼育が禁じられている場合の2つに分かれています。
2つめは「=借主負担(用法違反)」と書かれています。1つめの理由は、同じガイドラインの表の文にありました。
特に、共同住宅におけるペット飼育は未だ一般的ではなく、ペットの躾や尿の後始末の問題でもあり、善管注意義務違反として借主負担と判断される場合が多いと考えられる。
「尿の後始末」という語が、理由の中に入っています。キズや臭いそのものは善管注意義務違反、飼育が禁じられている部屋で飼った場合は用法違反、という分け方です。
国のガイドラインの事例: チワワとケージ
国のガイドラインには、裁判の事例が並んでいます。その18番目が、ペットの事例でした。
ペット飼育に起因するクリーニング費用を賃借人負担とする特約が有効とされた事例
見出しの下には「〔敷金 41 万 7000 円 返還 35 万 7360 円〕」とあります。ペット可の部屋で、借りていた人は、居住期間のうち約3か月にわたり、次のように飼っていました。
小型犬であるチワワを、ほとんど飼育用のケージ内で飼育していた。
契約書には、ペット消毒を借主の負担で行うという特約がありました。判決の要旨には、こう書かれています。
③ペットを飼育した場合には、臭いの付着や毛の残存、衛生の問題等があるので、その消毒の費用について賃借人負担とすることは合理的であり、有効な特約と解される。
一方でクロスについては、「ペット飼育による消毒のためであれば、張替えるまでの必要性は認められない」とされています。借りていた人の負担は、合計5万9640円とされました。
41万7000円・35万7360円・5万9640円は事例に書かれている数で、2つという数は当サイトが数えたものです。
トイレの失敗が続いているなら
トイレの外でしてしまう失敗が続いているときに、起きていることとトイレの形を選ぶと、理由を1つに絞って今日やることを出すツールを置いています。
読み取れなかったこと
臭いがどの程度なら借主の負担になるのかは、2つのガイドラインのどちらにも書かれていません。東京都のガイドラインは「損耗等の程度によっては異なる場合があります」と書いているだけでした。
事例18は、ほとんどケージの中で飼っていた約3か月の事例です。部屋で放して長く飼った場合に同じ結果になるかは、この事例からは分かりません。
この記事が扱っていないこと
- 契約や法律の判断は扱いません。困ったときは、契約書を確かめたうえで、自治体の相談窓口などに相談してください
- 消臭剤やクリーニングの製品・業者は比べません
- 犬の体調は扱いません
この情報が、どこから来ているか
出典: 国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月・PDF)と、東京都「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(表紙に令和4年12月・PDF。リンクは住宅政策本部のサイトポリシーに従いトップ頁)。いずれも2026年9月24日に取得して読みました。