トイレは「あとで考える」ができない——3時間以内に31%、という調査が国のガイドラインにある
備えを考えるとき、水と食料が先に来ます。トイレは、そのあとに回りがちです。
国土交通省のガイドラインには、その順番を考え直させる数字が載っていました。
何時間でトイレに行きたくなったか
東日本大震災において、宮城県気仙沼市の36名に発災から何時間でトイレに行きたくなったかを聞いたところ、3時間以内に31%、9時間以内では78%がトイレに行きたくなったと回答している。(国土交通省 ガイドライン PDF 12ページ)
熊本地震においても、195名に同様の調査を行ったところ、3時間以内に39%、9時間以内では86%がトイレに行きたくなったと回答している(図2-2)。(同)
調査の規模も書いておきます。36名と195名です。大規模な統計ではありません。それでも2つの災害で、3時間・9時間の並びが近い数字になっています。
同じページには、前置きとして一文があります。
(2)災害時にトイレが確保できないことによる健康被害排泄は、我慢することのできない生理現象である。(同)
引用の冒頭が見出しとつながっているのは、PDFから取り出したテキストのためです。原文では「(2) 災害時にトイレが確保できないことによる健康被害」が見出しで、そのあとに本文が続きます。
では、仮設トイレはいつ来るのか
東日本大震災においても多くは仮設トイレによって避難所等のトイレ環境を確保していたが、仮設トイレが避難所に行き渡るまでに要した日数が、4日以上かかったと回答した地方公共団体が全体の66%を占め、最も日数を要した地方公共団体は65日と、かなりの時間を要した(図2-1)。(国土交通省 ガイドライン PDF 11ページ)
3時間と、4日以上。この2つの数字が同じ資料の中に並んでいます。間が空くことが、そのまま課題として書かれているという構成です。
くみ取りについても書かれています。
また、仮設トイレはし尿のくみ取りが必須となるため、バキュームカーが調達できない場合や、し尿処理場が被災した場合では使用が困難になることがある。(同)
我慢すると何が起きる、と書かれているか
ここは、出典の書き方をそのまま引きます。
その結果、脱水症状になるほか、慢性疾患が悪化するなどして体調を崩し、エコノミークラス症候群(注1)や脳梗塞、心筋梗塞で震災関連死(注2)を引き起こすことにもなる。(国土交通省 ガイドライン PDF 12ページ)
被災者の声も紹介されています。
また、被災者の声の中には、肉体的・精神的疲労を引き起こした要因として、「断水でトイレを心配し、水分を控えた」という事例が紹介されている。(国土交通省 ガイドライン PDF 13ページ)
「水分を控えた」——トイレの問題が、水を飲むかどうかに移っている、という書かれ方です。
食べれば必ず排泄があり、排泄が無ければ健康な状態を維持することはできない。(同)
この記事が扱っていないこと
- 携帯トイレの商品名・必要数は書きません。このガイドラインは自治体がマンホールトイレを整備・運用するための資料で、家庭の備蓄量を示したものではありません。当サイトも物販で収益を得る側にいます
- 健康被害の判断は書きません。引いたのは出典の記述で、当サイトの評価ではありません。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください
- マンホールトイレそのものの整備・設置は扱いません。自治体の仕事として書かれています
- 自宅のトイレを流してよいかは、別に書いています——地震のあとのトイレは、流し方より先に「流していいか」
この情報が、どこから来ているか
出典は1系統です。国土交通省 水管理・国土保全局「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン - 2025年版 -」(令和7年10月)。公的機関の資料ですが、1つしかありません。
読んだのはPDFで、本文を機械で取り出したテキストです。版面そのものではありません。取り出しは2つの独立した抽出器で行い、両方が一字一句同じ文として返したものだけを引用しています。片方でしか取れなかった文は使っていません。
数字の限界も、もう一度書いておきます。調査は36名と195名です。「3時間以内に31%」は、その36名の中での割合であって、一般の割合として示されたものではありません。
出典: 国土交通省 水管理・国土保全局 上下水道審議官グループ「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン - 2025年版 -」(令和7年10月。PDF 11・12・13ページ)。PDFから機械的に取り出したテキストであり、版面そのものではありません。引用は2つの抽出器の出力が一致した文に限っています。出典は1系統です。