1か月に本を読まない人は6割台。ただし、この数字は過去と単純に比べられない

「日本人の6割が本を読まない」という言い方を見かけることがあります。もとになっている調査を見ると、たしかにその数字はあります。ただし、調査そのものが、過去との比較には注意が必要だと断っています。

1か月に読む本の冊数

文化庁の「令和5年度 国語に関する世論調査」の結果です。

1か月に読む本割合
読まない62.6%
1、2冊27.6%
3、4冊6.0%
5、6冊1.5%
7冊以上1.8%

1冊以上読むと答えた人は、合わせて36.9%です。

なお、この調査で「本」とは電子書籍を含み、雑誌や漫画は除いたものを指します。漫画を毎月読んでいる人も、この調査では「読まない」に入ることがあります。

過去と比べるときの注意

調査結果には、過去(平成20、25、30年度)の数字も参考として載っています。過去は「読まない」が4割台後半で、今回は62.6%です。数字だけ見れば大きく増えています。

ただし、調査自身がこう断っています——調査方法が変わったため、令和元(2019)年度以前の調査結果は参考値であり、比較には注意が必要である、と。令和2年度からは郵送法で、令和元年度以前は面接聴取法で実施されています。

聞き方が変わると答えも変わります。面接で人に直接聞かれる場合と、郵送で自分で書く場合とで、同じ人が同じ答えを書くとは限りません。「4割台から6割台に増えた」と単純に言えないのは、そのためです。

この注記は、数字だけが引用されるときに落ちやすい部分です。落とさずに読むと、「読書離れが急激に進んだ」という話は、少なくともこの調査からは断定できないことになります。

読む人は、どこで本を選んでいるか

同じ調査では、1か月に1冊以上読むと答えた人(全体の36.9%)に、本の選び方も聞いています(二つまで回答)。

選び方割合
書店で実際に手に取って選ぶ57.9%
インターネットの情報を利用して選ぶ33.4%
図書館や図書室で実際に手に取って選ぶ25.0%
広告を参考にする14.7%

最も多いのは「書店で実際に手に取って選ぶ」で、調査は減少傾向にあるとも書いています。なお、この表の母数は回答者全体ではなく、1冊以上読む36.9%の人たちです。二つまで回答のため、合計は100%を超えます。

読めない理由のほうは

同じ調査で、読書量が減っている理由も聞かれています。1位は「情報機器で時間が取られる」でした。そちらは本が読めないのは、時間の取られ方に理由があるかもしれないで紹介しています(この2本は同じ出典調査の、別の設問を扱っています)。

本が増えていく側の理由については、積読はなぜ増えるのか。「読めない」ではなく「買い方」に理由があったをあわせてご覧ください。

出典: 文化庁「令和5年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」(調査時期: 令和6年1月16日〜3月13日、全国16歳以上6,000人対象、有効回答3,559人、郵送法)