本の保管方法|国立国会図書館は書庫の湿度65%を1つの目安と書く

国立国会図書館の「温湿度管理」の頁は、恒常的に湿度が65%を超えるとカビが発生する確率が高まると言われているので、湿度65%を1つの目安として考えることができる、と書いていました。図書館の書庫についての書き方です。

本は、どう保管すればよいのか。国立国会図書館の頁と、IFLA(国際図書館連盟)の「図書館資料の予防的保存対策の原則」(日本図書館協会のサイトに載る日本語版)には、湿度と温度、光についての書き方があります。2つの文書とも、決まった1つの値よりも、急に変わらない安定した状態を書いていました。今回は、2つの文書を並べました。

先に: この記事は、図書館の書き方を並べるところまで

家の本棚を何%に保つかは、この記事では決めません。2つの文書は、図書館の書庫と資料について書いたものです。その書き方を並べます。除湿剤やケースなどの製品は比べません。

国立国会図書館: 湿度65%を1つの目安に

国立国会図書館の頁は、はじめに、図書館資料の劣化や虫菌害を抑えるには、低温低湿で変動のない環境で保存することが望ましいとされている、と書いています。そのうえで、湿度の目安がこうでした。

恒常的に湿度が65%を超えるようになるとカビが発生する確率が高まると言われているので、湿度65%を1つの目安として考えることができます。

国立国会図書館の書庫の目指し方も書かれています。「書庫内で人が作業できる温度」「65%以下の湿度」を目指し、1年を通じて、また1日の中でも、温湿度を急激に変動させないことを目指している、という書き方です。梅雨の時期には、書庫内の湿度が60%を超える頃から空調機の運転を始める、とも書いていました。

置き方の工夫も1つありました。

また、より効果的に温湿度を管理するために、書架の最下段と床の間をできるかぎり空けて床からの温度・湿度の変化を直接受けないようにしています。

棚の一番下を床から離す、という書き方です。なお、空調の運転の例は、国立国会図書館東京本館の環境と設備で行った結果だ、と頁は断っています。

IFLAの原則: 暑過ぎず寒過ぎず、安定した状態

IFLAの文書は、望ましい温度と湿度について、こう書いています。

一般に,図書館資料を保管・利用する環境は,暑過ぎず寒過ぎず,湿度が高過ぎることも低過ぎることもないような安定した状態がよい。

建物の中の室温は、座って作業をする人が心地よいと感じる大体20〜22℃に保たれている、とも書いていました。続く文は、こうです。

人間は温度変化には敏感であるが,湿度の変化にはそれほどでもない。一方,図書館資料はその逆である。

人が気づきにくい湿度の変化のほうに、資料は敏感だ、という書き方でした。

IFLAの原則: 光の影響は積み重なる

同じ文書の「光」の節は、光の影響が蓄積することを、数で書いています。

100 ルクス(ルクス=光測単位)の光を5時間あてるということは 500 ルクスの光を1時間あてたのと同じであり,50 ルクスの光を 10 時間あてたのと同じである。

日中の太陽光線は紫外線を最も多く含むので、紫外線を除く必要がある、とも書いていました。弱い光でも長く当てれば、強い光を短く当てたのと同じ、という書き方です。

2つの文書を並べる

点国立国会図書館 温湿度管理IFLA 図書館資料の予防的保存対策の原則
湿度65%を1つの目安・書庫は65%以下を目指す高過ぎも低過ぎもしない安定した状態
温度書庫内で人が作業できる温度室温は大体20〜22℃(人が心地よい温度)
変動1年を通じても1日の中でも急激に変動させない資料は湿度の変化に敏感
光(この頁には無い)影響は蓄積する(100ルクス5時間=500ルクス1時間)・日中の太陽光線の紫外線を除く
置き方書架の最下段と床の間を空ける(この節には無い)
誰の話か国立国会図書館の書庫図書館の書庫・閲覧室・展示室

本をしまう前に確かめる3つ

2つの文書の書き方を、確かめる順に並べると、確かめることは3つです。

  1. しまう場所の湿度を測る(国立国会図書館の書庫の目安は65%。家庭の線ではない)
  2. 床にじかに置かず、急に温度や湿度が変わる場所を避ける(書架の最下段と床の間を空ける)
  3. 日の当たる場所に置かない(光の影響は積み重なる・日中の太陽光線に紫外線が最も多い)

積んだ本を見直す時に

本を手放す前に、なぜ読まずに積んでしまったのかを10問で見分けるツールを置いています。

積読タイプ診断を試す →

読み取れなかったこと

家の本棚の湿度や温度の数は、2つの文書には書かれていませんでした。どちらも図書館の書庫と資料の話です。続き語のダンボールやプラスチックケース、乾燥剤に入れて保管してよいかも、一般の保管の話としては書かれていません(IFLAの文書に出てくる紙製の箱と乾燥剤は、カビの被害を受けた資料を処置まで置いておく方法の段です)。

この記事が扱っていないこと

  1. 除湿剤や本のケースなどの製品は比べません
  2. カビが生えた本の処置は扱いません(IFLAの文書は、修復保存の専門家に相談するよう書いています)
  3. 古い本や貴重書の修理は扱いません

この情報が、どこから来ているか

出典: 国立国会図書館「温湿度管理」(所蔵資料の保存)、IFLA「図書館資料の予防的保存対策の原則」第3章 保存環境(日本図書館協会のサイトに載る日本語版・PDF)。いずれも2026年9月26日に取得して読みました。