タイヤの溝は何ミリまでか|1.6mmは車検の日だけでなく走るあいだ保つ線

タイヤの溝の線は1.6mmで、道路運送車両法は、車検の日だけでなく、走るあいだ使用者がこの線を保つよう求める書き方でした。1.6mmという数は、自動車技術総合機構の審査の文に書かれています。

タイヤの溝は、何ミリまで減ったら替えるのか。車検のときだけ気にすればよいのか。道路運送車両法・保安基準・自動車点検基準と、自動車技術総合機構の審査事務規程を順に読むと、1.6mmという数と、それを誰がいつ保つのかが、別々の条に書かれていました。今回は、国土交通省の日常点検の頁も加えた5つの文書を、法の条から数の行まで順に並べました。

先に: 走行装置が基準に合わない自動車は、運行の用に供してはならない

道路運送車両法の第41条は、こう始まります。

自動車は、次に掲げる装置について、国土交通省令で定める保安上又は公害防止その他の環境保全上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。

掲げられている装置の2つめが「車輪及び車軸、そりその他の走行装置」です。同じ法の第47条は、使用者の点検と整備について、こう書いています。

自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。

車検の日に合っていればよい、という書き方ではなく、使用者が保安基準に合うよう維持する、という書き方でした。この記事は、5つの文書に書かれている条と数を並べるところまでです。自分の車のタイヤがこの線に届いているかは、4本を測って確かめるしかありません。

タイヤの条: 保安基準の第9条第2項

保安基準の第9条は「走行装置等」の条で、第2項がタイヤのことです。

自動車の空気入ゴムタイヤは、堅ろうで、安全な運行を確保できるものとして、強度、滑り止めに係る性能等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。

溝の深さの数は、この条ではなく「告示で定める基準」の側にあります。自動車技術総合機構の審査事務規程は、その基準を、審査の文として写しています。

数の行: いずれの部分においても1.6mm

審査事務規程の走行装置の節には、使用過程車の審査の文として、次の行があります。

空気入ゴムタイヤの接地部の全幅(ラグ型タイヤにあっては、空気入ゴムタイヤの接地部の左右の最外側から中心方向にそれぞれ全幅の4分の1)にわたり滑り止めのために施されている凹部(サイピング、プラットフォーム及びウエア・インジケータの部分を除く。)のいずれの部分においても1.6mm(二輪自動車及び側車付二輪自動車に備えるものにあっては、0.8mm)以上の深さを有すること。

溝の深さは、いずれの部分においても1.6mm以上です。4本のうち1本の、1か所でも1.6mmに届いていなければ、この行には合いません。二輪自動車は0.8mmで、最高速度40km/h未満の自動車や大型特殊自動車などに備えるタイヤは、この行から除かれていました。行の終わりには「(細目告示第 167 条第 4 項第 2 号関係)」と、もとの告示の場所が書かれています。

ゲージが無いとき: ウエア・インジケータで見る

同じ行は、続けてこう書いています。

この場合において、滑り止めの溝の深さについての判定は、ウエア・インジケータにより判定しても差し支えない。

国の審査も、溝の深さを数で測る代わりに、この印で判定することを認めている書き方でした。国土交通省の日常点検の頁は、この印をこう説明しています。

タイヤの溝の深さに不足がないかをウェア・インジケータ(スリップ・サイン)などにより点検します。スリップ・サインは、タイヤの溝の深さが1.6ミリ以下になると現れます。

同じ段落は「スリップ・サインが現れたらタイヤを交換しましょう」と続いていました。深さを測るゲージが手元に無くても、この印を4本とも見ることはできます。

使用者がする日常点検: 「溝の深さが十分であること」

道路運送車両法の第47条の2は、使用者に日常点検を求めています。

自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。

その技術上の基準が自動車点検基準で、自家用の乗用車などには別表第2(自家用乗用自動車等の日常点検基準)がかかります。タイヤの欄は4行で、空気圧・亀裂と損傷・異状な摩耗と並び、4つめが「溝の深さが十分であること。」でした。

別表第2の溝の行には、数が書かれていません。数は、保安基準と告示の側にあります。点検の結果、保安基準に合わない状態のときは、使用者が必要な整備をする、と第47条の2の第3項は書いていました。

5つの文書を並べる

文書条・節書かれていること誰が・いつ
道路運送車両法第41条走行装置が技術基準に適合しなければ、運行の用に供してはならない走らせるあいだ
道路運送車両法第47条使用者は、保安基準に適合するように維持する使用者・いつも
道路運送車両法第47条の2適切な時期に日常点検をし、合わない状態なら整備する使用者
保安基準第9条第2項タイヤは、滑り止めなどについて告示で定める基準に適合する(基準の条)
審査事務規程7-11,8-11 走行装置溝はいずれの部分も1.6mm以上(二輪は0.8mm)。ウエア・インジケータで判定してもよい機構の審査
自動車点検基準別表第2溝の深さが十分であること(数は無い)自家用乗用自動車等の使用者
国土交通省の日常点検の頁15 タイヤの溝の深さスリップ・サインは溝が1.6ミリ以下になると現れる。現れたら交換点検する人

1.6mm・0.8mm・40km/hは審査事務規程に、1.6ミリは日常点検の頁に書かれている数で、5つの文書という数は当サイトが並べたものです。

走る前に確かめる3つ

5つの文書の書き方を、走る前の順に並べると、確かめることは3つです。

  1. 4本それぞれの溝を見る。ゲージで深さを測るか、ウェア・インジケータ(スリップ・サイン)が現れていないかを見る
  2. 1本でも1.6mmに届いていなければ、その1本を替えるまで運転しない。第41条と第47条の書き方に沿った1手で、交換は店に頼む。日常点検の頁も、スリップ・サインが現れたら交換と書いている
  3. 溝のほかの3行も見る。空気圧・亀裂や損傷・異状な摩耗(別表第2のタイヤの欄)

4本の溝を入れて確かめる

4本それぞれの溝の深さか、スリップ・サインが出ているかを入れると、1.6mmの線と並べて出すツールを置いています。

タイヤの溝を4本測って、国の線(1.6mm)と並べる →

読み取れなかったこと

10円玉や100円玉で溝を測る方法は、5つの文書のどれにも書かれていません。

冬用タイヤについての数も、この5つの文書には書かれていません。審査事務規程の1.6mmの行は、空気入ゴムタイヤの行で、夏用と冬用を分けていませんでした。

この記事が扱っていないこと

  1. タイヤやゲージの製品は比べません
  2. 二輪自動車と大型特殊自動車は扱いません。二輪自動車は0.8mmと書かれています
  3. タイヤの減り方の良し悪しや、替える時期の目安は決めません

この情報が、どこから来ているか

出典: 「道路運送車両法」(昭和二十六年法律第百八十五号・e-Gov 法令検索)、「道路運送車両の保安基準」(昭和二十六年運輸省令第六十七号・e-Gov 法令検索)、「自動車点検基準」(昭和二十六年運輸省令第七十号・e-Gov 法令検索)、独立行政法人自動車技術総合機構「審査事務規程」の「7-11,8-11 走行装置」(PDF)、国土交通省 自動車総合安全情報「日常点検」。いずれも2026年9月25日に取得して読みました。