つや消しが白くなるのは、いつ起きるのか

つや消しを吹いた直後に、表面が白っぽく曇る。色そのものは変わっていないのに、全体がうっすら白い。この症状には名前がついていて、製造元は「カブリ」と呼んでいます。

この記事では、いつ起きるのかと、製造元が何を言っているのかを書きます。起きたあとの手順は書きません(最後にツールへ送ります)。

「湿気の多いとき」までは、2社が一致している

模型用塗料の製造元2社が、それぞれ自社のページでこの現象に触れています。

言い方は違いますが、「湿気が多いときに起きる」という点では2社が同じことを書いています。吹き方が下手だったから、という話にはなっていません。

ただし「なぜ起きるか」は食い違っている

ここから先は、2社の説明が分かれます。

論点GSIクレオスガイアノーツ
なぜ塗膜表面の結露乾燥が早いこと
防ぎ方温度と湿度に注意乾燥を遅らせる
起きたあと落として再塗装記述なし

GSIクレオスは「水分がエアブラシや缶から噴出した塗料内に含まれていたり、乾燥時に塗膜表面に結露することによって生じる」と書いています。防ぎ方として挙げているのは、水抜き機能付アクセサリを使うこと、乾燥時に部屋の温度と湿度に気をつけること、そして気温が低いときはパーツを少しだけ温めることです。

ガイアノーツは「これは乾燥が早いと起こる現象ですので、リターダー効果で乾燥を遅らせてかぶりを抑えることができます」と書いています。

片方は「表面に水滴がつくこと」を原因に挙げ、もう片方は「乾くのが早いこと」を原因に挙げています。防ぎ方も、素人が読むと逆を向いて見えます——一方は温める(乾きを助ける向き)、もう一方は乾燥を遅らせる

この2つをつなげて説明した製造元の記述を、こちらでは見つけられませんでした。どちらが正しいのか、あるいは両方が同じことの別の側面なのかを判定する材料は、こちらにはありません。そのまま並べておきます。

色は変わっていないのに、拭いても戻らない

この症状のやっかいなところは、色が変わっていないのに、表面を拭いても戻らない点です。はみ出しやシミのような「一部だけの失敗」とは種類が違います。

復旧について書いているのは2社のうち1社だけで、その内容は「サンドペーパーなどで塗装を落としてから再塗装する」というものです。拭き取りで直す方法は、書かれていません。

この情報が、どこから来ているか

出どころの限界を、先に書いておきます。

1つ目: 2社とも、自社の対策商品を名指しする文脈で原因を説明しています(一方は水抜きアクセサリ、もう一方はうすめ液)。原因の説明そのものが間違いだという意味ではありませんが、読む側が知っておくべき条件です。そのうえで、当サイトも同じ商品カテゴリで収益を得る側にいます。

2つ目: 2社とも「つや消し」に限定して書いてはいません。GSIクレオスは塗装面一般の話として、ガイアノーツはエアーブラシ塗装の話として書いています。この記事の入口は「つや消しが白くなる」ですが、出典側はそこまで絞っていません。

3つ目: とくにガイアノーツの記述はエアーブラシの文脈で、缶スプレーのトップコートにそのまま当てはまるとは書かれていません。

4つ目: どちらのページにも記事単位の発行日がありません(著作権表記のみ)。いつ書かれた情報かを、読む側が確認できない形になっています。

そしてもう一点、書かなかったことがあります。「厚く吹きすぎると白くなる」という説明を見かけますが、それを書いている製造元の記述を、こちらでは見つけられませんでした。つや消しスプレーの商品ページには「厚塗りや重ね塗りは逆効果をまねきます」とありますが、その「逆効果」が白化のことだとは書かれていません。出典が無いので、この記事では原因として挙げません。

実際に作業する前には、お使いの製品の使用説明を必ず確認してください。製品ごとに条件は異なります。

出典: GSIクレオス「よくあるご質問」塗料・仕上げ材に関して(製造元。記事単位の発行日なし)、ガイアノーツ「Q&A よくあるご質問」うすめ液の説明(製造元。記事単位の発行日なし)、GSIクレオス Mr.スーパークリアースプレー(つや消し)商品ページ(製造元。記事単位の発行日なし)。なお、同じ現象についてタミヤの公開ページ(よくあるご質問・模型作りのアドバイス・プラモデル入門ガイド・塗料カタログ)も調べましたが、記述は見つかりませんでした。